分娩編 第3回  無痛分娩のメリットと知っておきたい注意点

分娩編 第3回  無痛分娩のメリットと知っておきたい注意点

こんにちは。マミィクリニック伊集院です。
分娩編も後半に入りました。今回と次回は最近よく耳にする「無痛分娩」について。
「無痛分娩」というワードはよく聞くけれど、

「本当に痛みはなくなるのか?」
「赤ちゃんへの影響はあるの?」
「何かリスクはある?」

など、気になっている方も多いのではないでしょうか。
今回は無痛分娩のメリットと、選択する前に知っておきたい注意点についてお話しします。

▼これまでのテーマ
第1回:お産の始まりを示すサインとは? 
第2回:お産中の過ごし方は? 
第3回:無痛分娩のメリットと知っておきたい注意点 ←今回はここ!
第4回:無痛分娩中の過ごし方は? 
第5回:家族の立ち会いは何をすればいい?

前回までのおさらい

陣痛が始まり入院となったマミさん。
まだ痛みは我慢できる程度で、ご主人と会話をしたり歩いたりしながら過ごしていました。

現在のマミさん

陣痛の間隔も徐々に短くなり、少しずつ痛みが強くなってきました。

上のお子さんの時は自然分娩で出産されたマミさん。
今回は無痛分娩にも興味があり、妊娠中ずっと迷っていました。

そこで妊娠中に、マミィクリニックで開催されていた「無痛分娩講座」を受講し、今回は無痛分娩を選択することにしました。

無痛分娩とは

そもそも「無痛分娩」とはどのようなお産なのでしょうか?

無痛分娩とは、麻酔薬を使って陣痛による痛みを和らげるお産の方法です。

「無痛」という名前ですが、実際には完全に無痛になるわけではありません。
お腹の張りや圧迫感などは感じることが多く、「痛みを和らげながら出産する方法」とイメージすると分かりやすいかもしれません。

また、無痛分娩による出生直後の赤ちゃんへの影響はほとんどないとされています。

麻酔の方法

陣痛の痛みを和らげる方法にはいくつか種類があります。

その中でも当院では、無痛分娩で最も一般的に行われている「硬膜外麻酔」という方法を採用しています。

これは、背中にある「硬膜外腔(こうまくがいくう)」という場所に細い管を入れ、局所麻酔薬などを投与する方法です。

無痛分娩のメリット

痛みの緩和

痛みの緩和は無痛分娩の最大のメリットです。痛みが緩和されることで身体的なストレスの緩和に繋がります。

精神的ストレスの緩和

痛みへの恐怖や不安が軽減されます。

体力の消耗を軽減できる

出産は多くの体力を消耗します。
痛みに耐えるだけでも体力が必要なため、長時間のお産でも疲労が少なくなります。

一時的に起こる症状

無痛分娩には一時的に起こる症状や合併症がいくつかあります。

低血圧

麻酔の影響で血管が広がるため、一時的に血圧が下がりやすくなります。
よく見られる副作用ですが予防のために点滴の投与を行います。

発熱

原因ははっきりとしていませんが、麻酔開始から4~6時間程度で体温上昇がみられることが多いと言われています。クーリングや点滴投与を行います。

かゆみ

腹部のかゆみを訴えることが多いと言われています。かゆみのある部分に保冷剤を当てて対処します。

合併症

局所麻酔中毒

麻酔薬の大量投与や血管内への投与によって中毒レベルまで血液中の濃度が高くなることです。

  • 耳鳴り
  • 金属のような味がする
  • 多弁
  • けいれん

このような症状が見られたら局所麻酔の投与を中止します。

全脊髄くも膜下麻酔

麻酔が予定より広い範囲に効いてしまうことで起こる合併症です。

  • 足が動かしにくい
  • 低血圧

重症の場合は呼吸が抑制される可能性があります。
このような症状が見られたら直ちに局所麻酔の投与を中止します。

硬膜穿刺後頭痛(PDPH)

硬膜穿刺後5日以内に起こる頭痛のことを言います。
多くは72時間以内に発症し、起き上がる際に増悪し横になると軽減します。

通常は2週間以内に症状は改善すると言われています。
症状が見られた場合はカフェインの投与を行います。カフェインは母乳中にごく微量移行しますが、1~2回の投与で赤ちゃんに有害な影響はありません。

知っておきたい注意点

これまでリスクや合併症についてお話しましたが、そのほかに知っておくべき注意点があります。

異変に気が付きにくい

自然分娩の場合は、子宮破裂や常位胎盤早期剥離など子宮の痛みが原因で発見されますが、
麻酔によって痛覚が麻痺しているため、自身の体の異変に気付きにくくなることがあります。

早期発見・早期対応できるよう、胎児心拍数モニターを装着し赤ちゃんの健康状態をモニタリングしながら進めていきます。

分娩時間の長期化、器械分娩への切り替え

麻酔の影響でいきむ感覚が分かりにくくなったり、分娩の進行がゆっくりになることがあります。
分娩が長引くことで赤ちゃんの体力も消耗してしまうため吸引分娩などの器械分娩が必要になることがあります。

おわりに

無痛分娩にも自然分娩にもそれぞれメリットや注意点があります。
どちらが良い・悪いではなく、ご自身やご家族が納得して出産方法を選ぶことが大切です。

当院では不定期で「無痛分娩教室」を開催しています。医師が無痛分娩のメリットや合併症、実際の動画なども交えてお話します。興味のある方はスタッフまでお問い合わせください。
また、気になることや不安なことがあれば妊婦健診の際にお気軽にご相談ください。

次回は、「無痛分娩中の実際の過ごし方」について。
会話はできる?歩いていい?などの過ごし方についてお伝えする予定です。
どうぞお楽しみに!