産後にお腹がへこまない? 〜理学療法士が解説する「腹直筋離開」とケアの方法〜

産後にお腹がへこまない? 〜理学療法士が解説する「腹直筋離開」とケアの方法〜

出産後、
「お腹がぽっこりして戻らない」
「仰向けで起き上がると、お腹の真ん中が盛り上がる」

そんな悩みを感じていませんか?
それ、腹直筋離開(ふくちょくきんりかい)が原因かもしれません。

今回は、理学療法士の視点から、腹直筋離開の仕組みやセルフチェック法、安全なエクササイズについてわかりやすくお伝えします。

腹直筋離開とは?

腹直筋は、お腹の中央を縦に走る「いわゆるシックスパックの筋肉」です。
妊娠中、お腹が大きくなるにつれてこの左右の筋肉が引き伸ばされ、真ん中の白線(はくせん)という組織が広がります。

この“すき間”ができた状態を「腹直筋離開」と呼びます。
産後しばらくは誰にでも見られる変化ですが、離開が残るとお腹の形や姿勢、腰痛などに影響することがあります。

よくある症状・サイン

  • お腹の中央が縦にドーム状に盛り上がる
  • 産後数ヶ月経ってもお腹がへこまない
  • 仰向けで起き上がるとお腹に違和感がある
  • 腰痛や骨盤の不安定感がある
  • 姿勢が崩れ、ぽっこりお腹が気になる

セルフチェック方法(安全なやり方)

  1.  仰向けになり、膝を立てます
  2. 頭を軽く持ち上げて、腹筋に少し力を入れます
  3. おへその上下を指で軽く押して、すき間の幅を確認します

指2本分以上のすき間があり、深く沈む感触がある場合は、離開が残っている可能性があります。

ポイント
無理に力を入れず、痛みや違和感がある場合は専門家に相談しましょう。

避けたほうがいい動作・運動

NG動作

  • 仰向けでの上体起こし(シットアップ) → 腹圧が急上昇し、離開が悪化する可能性がある
  • 腹筋運動(V字腹筋など)→ 腰・腹部への負担が大きい
  • 赤ちゃんや重い物を反動で持ち上げる動作 → 腹圧が過剰にかかる

安全なエクササイズ例

  • 腹式呼吸+骨盤底筋群の収縮
  • ドローイン(お腹をへこませて5秒キープ)
  • 四つ這いでの骨盤ゆらし運動
  • 仰向けでの骨盤後傾運動

 

ポイント:
「お腹を押し出さない」「呼吸と連動させて腹圧をコントロールする」ことが大切です。

よくある質問(Q&A)

Q:自然に治りますか?

A:軽度であれば自然に改善することもありますが、姿勢や動作のクセによっては残ることもあります。

Q:腹帯やコルセットは必要ですか?

A:一時的なサポートとして使うことはありますが、根本的な改善には筋肉の再教育(リトレーニング)が大切です。

まとめ

腹直筋離開は、産後ママの多くに起こる自然な変化ですが、放置すると腰痛・姿勢の崩れ・体幹の弱さにつながることがあります。

焦らず、呼吸・姿勢・骨盤底筋群の連動を意識したエクササイズから始めてみましょう。
不安がある方は、理学療法士や専門家にご相談ください。

一言アドバイス

お腹をへこませる前に、まずは「呼吸を整える」ことから。
無理せず、少しずつ“自分の体を取り戻す時間”をつくっていきましょう。