妊娠初期編・第3回「妊娠中の食事は何を注意する?」

妊娠初期編・第3回「妊娠中の食事は何を注意する?」

こんにちは。マミィクリニック伊集院です。
今回も前回に続いて、マミさんの体験談も交えながら妊娠初期の様子についてお話していきます。

第1回 産院選びはどうする?
第2回 つわり時の対応は?
第3回 妊娠中の食事は何を注意する? ←今回はここ!
第4回 妊娠中の抱っこは問題ない?

第3回の今回は、妊娠中の食事についてお話しします。

前回のおさらい

マミさんは1回目の妊婦健診の際、つわりの症状が強く、食事や水分が十分に摂取できず体重が減少していました。

 

現在のマミさん

「やっと食欲が戻ってきた…!」
妊娠初期のつわりが落ち着いてきたマミさん。久しぶりに美味しくご飯を食べられるようになり、
ホッとしたのも束の間…。
「あれ?妊娠中って何を食べたらいいんだっけ?」とふと疑問に。
そこで今回は、マミさんのように食事について悩むママたちへ向けて、妊娠中の食事のポイントをまとめてみました。

 

妊婦さんの栄養について

お腹の中の赤ちゃんの体はママが食べたものを栄養源として育っていきます。
今までは何気なく食べていたものでも妊娠中は避けた方が良かったり、逆に積極的に摂った方ががよいものもあります。

今回は、妊娠中におすすめの栄養素や注意したい食材についてご紹介します。

積極的に摂りたい栄養素

鉄分

妊娠中は赤ちゃんや胎盤の成長のために鉄の必要量が増加します。
そのため、妊娠中は貧血になりやすい状態と言われています。

貧血の具体的な症状としては

・疲れやすい
・息切れ
・めまい

などがあります。さらに貧血のまま出産に臨むと

・陣痛が弱くなる(微弱陣痛)
・お産の進みが遅い(遷延分娩)
・産後の出血の量が増える

といったリスクもあります。

鉄分の付加量(推奨量)

妊娠初期:+2.5㎎
妊娠中期・後期:+9.5㎎

鉄分を多く含む食品

・あさりの水煮缶(100g)…29.7㎎
・ほうれん草(100g)…2.0㎎
・小松菜(100g)…2.8㎎
・納豆(50g)…1.7g

ビタミンCと一緒に摂るのがおすすめ!

鉄の吸収を高めるためには、ビタミンCを含む食材を一緒に摂取すると効果的です。
ビタミンCを多く含む食べ物としては、オレンジやキウイ、ブロッコリー、キャベツなどがおススメです。

 

葉酸

葉酸はビタミンBの一種でDNAの合成や細胞分裂に関わる重要な物質です。
特に妊娠初期は赤ちゃんの成長には欠かせません。

葉酸が不足した時の赤ちゃんへの影響は

・神経管閉鎖:脳や脊髄など中枢神経の発達に異常が起こる可能性があります
・早産:妊娠37週未満での出産

厚生労働省の推奨量

・妊娠初期:食品から240㎍/日、栄養補助食品から400㎍/日
・妊娠中期・後期:さらに+240㎍/日とされています。

葉酸を多く含む食材
・ブロッコリー
・ほうれん草
・枝豆

しかし水溶性ビタミンであるため水に溶けやすいという特徴を持っています。
茹でることで栄養素が水に流れてしまうため、炒める方法やスープなどで丸ごと食べる
などの工夫を行うと良いでしょう。

またサプリメントの活用もおススメです。

 

注意すべき食材・飲み物

ナチュラルチーズ(非加熱)

加熱処理をしていないナチュラルチーズにはリステリア緊が含まれている可能性があります。
リステリアに感染すると症状が見られない場合もありますが胃腸炎のような症状が出現することも…
また、お腹の中の赤ちゃんに感染すると

・流産
・早産
・子宮内胎児死亡

 

リステリア菌は70~75度で数分間加熱することで殺菌することができます。
「要加熱」と記載されている市販品は、必ず加熱してから食べましょう。

 

水銀を多く含む魚介類

特に以下の魚には注意が必要です。
・キンメダイ
・クロマグロ
・クジラ

これらは水銀を多く含む可能性があり、過剰に摂取すると、お腹の中の赤ちゃんの発育に
影響を及ぼす恐れがあると言われています。

妊娠中での安心な魚
・ツナ缶
・サケ
・アジ
・サバ
・ブリ

などは、特に注意する必要のない妊娠中におススメの魚です。
刺身などの生魚も食中毒のリスクがあるため妊娠中は控えることが安心です。

 

カフェイン

カフェインは胎盤を通過して、中枢神経に影響を与える可能性があります。
また摂りすぎは低体重になるなど、成長を阻害する可能性も報告されています。

摂取の目安
1日300㎎以下にすることが推奨されています。

飲み物100mlあたりのカフェイン含有量

・コーヒー …60㎎
・紅茶…30㎎
・玉露…160㎎
・ウーロン茶…20㎎
・エナジードリンク…30~40㎎

妊娠中におススメのノンカフェイン飲料

・麦茶
・ルイボスティー
・そば茶
・コーン茶
・ごぼう茶
・タンポポ茶
・カモミールティー

1日1~2杯程度のコーヒーであれば摂取しても問題ありませんが、カフェインレスコーヒーの活用もおすすめです。

 

マミさんのその後…

マミさんはコーヒーが好きで妊娠前は毎日摂取していましたが、現在はノンカフェインのコーヒーを購入して代用することにしました。
「思っていた以上にコーヒーの香りもあっておいしい!」と好評だったそうです。
またお茶について、長女と一緒に今までは麦茶を摂取していましたが、ごぼう茶を試してみたところ、
マミさんだけでなく長女にも大好評!

 

このように妊娠中の食事内容も工夫次第でストレスなく楽しく過ごすこともできます。

 

最後に

妊娠中の食事は、「赤ちゃんに栄養素を届けるため」と同時に「ママ自身の健康を守るため」にとても大切です。

つわりが落ち着いて食べられるものが増えてきたら、今回ご紹介した栄養素や食材に
気を付けながら、バランスの良い食事を心がけていきましょう。

次回は妊娠初期編最後の「妊娠中の抱っこ」についてお話していきます。お楽しみに!