
番外編 第3回 妊娠と高血圧
こんにちは。マミィクリニック伊集院です。
マミさんの妊娠経過シリーズの番外編もいよいよラスト。
今回は「妊娠と高血圧」をテーマにお届けします。
▼これまでのテーマ
第1回:妊娠中の危険な出血
第2回:妊娠と糖尿病
第3回:妊娠と高血圧 ←今回はここ!
妊娠中は通常、妊娠前と比較し血圧はやや下がると言われています。
しかし中には妊娠をきっかけに血圧が上昇する方もおり、血圧の上昇はママだけでなく赤ちゃんにも大きな負担をかけることになります。
今回は
- どのような方にリスクがあるのか
- 血圧が上がるとどのような影響があるのかについて分かりやすくお話していきます。
妊娠高血圧症候群とは
妊娠高血圧症候群は、妊娠中に血圧が高くなることで起こる病気の総称です。
以前は「妊娠中毒症」と呼ばれていました。
妊娠高血圧症候群の原因は現在もはっきりとは分かっていませんが、
高血圧に加えて母体の血管障害や臓器障害を引き起こす可能性があり、
母体死亡や周産期死亡の主な原因のひとつとされています。
なりやすいのは?
以下のような方は発症リスクが高くなります。
- ママの年齢が35歳以上(特に40歳以上)
- 高血圧や糖尿病の家族歴がある
- 肥満
- 双子などの多胎妊娠
- 初めてのお産(初産婦)
- 過去に妊娠高血圧症候群になったことがある
心当たりのある方は、より注意して妊婦健診を受けていきましょう。
症状

- 血圧の上昇
- 尿蛋白
- 急激な体重増加
- 頭痛
- 全身のむくみ
- 吐き気
- 目が見えにくくなる
などがあります
診断方法
以下のいずれかが基準値以上の場合、
「妊娠高血圧症候群」と診断されます。
収縮期血圧(上) 140mmHg以上
拡張期血圧(下) 90mmHg以上
上記のいずれかが基準値以上になった場合、「妊娠高血圧症候群」と診断されます。
特に、
収縮期血圧160mmHg以上
拡張期血圧110mmHg以上
の場合は重症の妊娠高血圧症候群と診断され、厳重な管理が必要です。
妊娠高血圧症候群は、血圧だけでなく尿蛋白や腎臓の機能障害などの有無から種類が分けられます。
合併症
妊娠高血圧症候群になると、ママと赤ちゃん双方に影響があります。
ママの合併症
- けいれん発作(子癇)
- 脳出血
- 肺水腫(肺に水が溜まり呼吸困難になる)
- 肝機能障害
- HELLP症候群(肝機能障害・溶血・血小板減少)
など
赤ちゃんの合併症
- 胎児発育不全(発育が遅れる)
- 胎児機能不全(赤ちゃんの状態が悪化する)
- 常位胎盤早期剝離(出産前に胎盤が剥がれる)
- 胎児死亡
など
治療方法
血圧が140/90mmHgを超えるようであれば安静が必要となります。
また塩分は7~8g/日程度に制限した治療食が勧められます。
血圧が160/110mmHg以上の重症域に達した場合は、
血圧を下げる薬やけいれんを予防するための薬を使用することもあります。
予防方法

妊娠高血圧症候群は、早期発見と早期治療が最も重要です。
定期的に妊婦健診を受け
適切な産科管理を行うことが、予防と重症化防止につながります。
産後のケア
妊娠高血圧症候群は多くの場合、分娩をきっかけに症状が改善します。
軽症の場合は、分娩後の入院期間中に血圧が正常範囲へ戻ることもあります。
一方、重症の場合は出産後も血圧コントロールのために
降圧薬の内服を継続することがあります。
また、次の妊娠では再発する確率が高く、重症化する可能性もあるため
妊娠を予定している方は、非妊時から生活習慣や食生活の見直しを心がけましょう。
さいごに
妊娠高血圧症候群は、
早く気づき、適切に管理することで多くのリスクを防ぐことができる病気です。
気になる症状や不安があるときは、一人で抱え込まずいつでもご相談ください。
マミさんの妊娠経過シリーズ番外編は、今回で一区切りとなります。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました。